刊行物


『夢みるインドネシア映画の挑戦』

西芳実著 シリーズ「混成アジア映画の海」2 英明企画編集 2021年12月刊行
『夢みるインドネシア映画の挑戦』

大小17,000もの島々から成り、世界4位の人口を擁する多民族国家インドネシアは、映画大国でもある。国産映画は毎年約100本作られ、そのうち十数本が100万人超の観客を動員する。本書では、特に1998年政変以降に制作されたインドネシア映画の物語とその語られ方の分析から、インドネシアが何を理想として国と社会を構想し、何を恐れ、何を悲しみ・悼み、どこに希望を見出して国として歩んできたのかを探る。映画からインドネシア史を読み解き、読めば映画がより愉しめる挑戦的な一冊。

目次
第1部 序論 インドネシアの夢と願いを映画にみる──1998年政変以降を中心に
第2部 父をめぐる国民の物語の模索──映画にみるインドネシアの家族像
第3部 信仰と規範、社会秩序の問い直し──呪縛と闘うインドネシア映画
第4部 国民的悲劇を語り直し乗り越える──想像と連帯を促す映画の力
資料

A5判 本文364頁 定価 本体2500円+税
版元ドットコム
英明企画編集
 

『マレーシア映画の母 ヤスミン・アフマドの世界』

山本博之編著 シリーズ「混成アジア映画の海」1 英明企画編集 2019年7月刊行
『マレーシア映画の母 ヤスミン・アフマドの世界』

『細い目』、『グブラ』、『ムクシン』、『ムアラフ―改心』、『タレンタイム~優しい歌』、そして『ラブン』等の作品を通じて「もう一つのマレーシア」を描き、世界に感動をよんだ不世出の映画監督ヤスミン・アフマド。彼女が遺した全長編作品を、民族、宗教、言語、権力関係などの社会的背景を踏まえて多角的に読み解き、その特徴と魅力、より深い愉しみ方を紹介します。

目次
はじめに――現実と切り結ぶ「映画の力」を珠玉の作品群にみる
第1部 ヤスミン・アフマド作品の混成的な特徴と魅力――演出、情報提示、脚本、翻訳の視点から
第2部 多層的・多義的物語世界の愉しみ方――長編六作、短編一作を読み解く
第3部 ヤスミン・ワールドを支える人びと――先行の映画人・舞台人たちの物語
第4部 伴走者・継承者たちの歩み――約束を守り遺志を継ぎ伝える者
資料

A5判 本文432頁 定価 本体2500円+税
版元ドットコム
英明企画編集
 

『結末の向こう側 混成アジア映画研究2021』

山本博之編著、CIRAS Discussion Paper 107、京都大学東南アジア地域研究研究所、2022年3月。
『混成アジア映画研究2021』 目次
刊行にあたって(山本博之)
第1部 国・地域別研究混成アジア映画の現在
秘められた絵図─『夕霧花園』と『不即不離』が描く日本軍とマラヤ共産党(山本博之)
告白の行方─インドネシア映画『フォトコピー(』2021年)が照らす光と影(西芳実)
タイ映画『バッド・ジーニアス─危険な天才たち』とカンニング─ヒロインは聖女か悪女か(平松秀樹)
第2部 シンポジウムの記録
大阪アジアン映画祭シンポジウム 大阪だョ!全員集合─日本の自助・共助・公助とアジア
第3部 特集 母なる川との対話2─『メコン2030』にみる川と信仰
ディズニー長編アニメ映画『ラーヤと龍の王国』を映画『メコン2030』との関連性から読み解く(橋本彩)
開発、死、他者─サイ・ノー・カン監督『The Forgotten Voices of The Mekong』をめぐって(山本文子)
見えない流れを旅する─ファム・ゴック・ラン監督『The Unseen River』をより楽しむためのガイド(秋葉亜子)
追悼
カンボジア映画界の雷鳴となる─リー・ブンジム監督を偲んで(岡田知子)
執筆者一覧
 

『越境する災い 混成アジア映画研究2020』

山本博之編著、CIRAS Discussion Paper 100、京都大学東南アジア地域研究研究所、2021年3月。
『混成アジア映画研究2020』 目次
刊行にあたって(山本博之)
第1部 特集 母なる川との対話―『メコン2030』にみる災厄と相克
特集にあたって(橋本彩)
父の不在、母なるメコン、そして兄・弟・姉─アニサイ・ケオラ監督The Che Brotherをめぐって(橋本彩)
クメールの魂を取り戻す道行き─ソト・クリカー監督SOUL RIVERをめぐって(岡田知子)
境界を越えて─アノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督The Lineをめぐって(平松秀樹)
第2部 国・地域別研究 混成アジア映画の現在
インドネシアのホラー映画に見る恐怖の起源─『ポチョン』と『スンデルボロンの伝説』から(西芳実)
シンガポールのホラー映画にみえる社会の危機意識と不安感─『23:59』、『ゾンビプーラ』、『ポンティアナックの復讐』から(山本博之)
歴史ドラマ『私たちの物語』映画シリーズが試みるシンガポール国民史の再編(篠崎香織)
正義が忠誠を倒すとき─マレーシアの恋愛映画『ジュバ』が試みる古典文学の再解釈(山本博之)
執筆者一覧
 

『伝承と国民の物語 混成アジア映画研究2019』

山本博之編著、CIRAS Discussion Paper 91、京都大学東南アジア地域研究研究所、2020年3月。
『混成アジア映画研究2019』 目次
刊行にあたって(山本博之)
第1部 特集 伝承と国民の物語
彩られる物語、受け継がれる物語:カンボジア怪奇映画に見る「アープ」の伝承(岡田知子)
作品紹介 醜悪な老婆からキュートな女子まで:カンボジアの「アープ」映画紹介(岡田知子)
熟して落ちたドリアンの実:映画『トンビルオ』のサバでの受容とマレーシアの政権交代(山本博之)
映像は国民的悲劇をどう語り継ぐのか:インドネシア映画における9月30日事件(西芳実)
紛争はいかに語り継がれるのか:映画『ベアトリスの戦争』に描かれた女たちの経験(亀山恵理子)
フィリピン映画100年目に生まれる物語の新しい型:2019年のフィリピン映画(山本博之)
トムヤンティ『クーカム』(メナムの残照)再考:ロマンスの背後にみるタイのジェンダー観、国家観(平松秀樹)
附録 『クーカム』(メナムの残照)映画・テレビドラマ版の特徴(平松秀樹)
第2部 シンポジウムの記録
大阪アジアン映画祭シンポジウム
 「生まれ変わるタイ映画:魂のホームステイと救済」

国際交流基金アジアセンターシンポジウム
 格差を包む信仰:映画が描く東南アジアの赦しと救済

執筆者一覧
 

『正義と忠誠 混成アジア映画研究2018』

山本博之編著、CIRAS Discussion Paper 82、京都大学東南アジア地域研究研究所、2019年3月。
『混成アジア映画研究2018』 目次
刊行にあたって(山本博之)
第1部 特集 正義と忠誠
正義と忠誠の十字路:2018年のマレーシアにおける政権交代と映画(山本博之)
詫びる父と化ける女:2018年インドネシア映画に見る語り継ぎと語り直し(西芳実)
「天使」はタイには必要ないか? 日本の原作小説『カラフル』とともに:タイ映画『Homestay』(2018)覚書(平松秀樹)
人魚の物語のハッピーエンド:2018年のフィリピン映画(山本博之)
第2部 シンポジウムの記録
「茶房館から牌九を越えて」
執筆者一覧
 

 

 

『母の願い 混成アジア映画研究2017』

山本博之編著、CIRAS Discussion Paper 77、京都大学東南アジア地域研究研究所、2018年3月。
『混成アジア映画研究2017』 目次
刊行にあたって(山本博之)
第1部 特集 母の願い
引き継がれる母性、なくならない資産:インドネシアのイスラム恋愛映画の展開、2008~2017年(山本博之)
離散・父権・魔物:インドネシア映画による災いの語り直し(西芳実)
聖母と人魚:フィリピン映画におけるゲイ・カップル表象(山本博之)
第2部 特集 12人姉妹
ラオスにおける12人姉妹:男山・女山として語り継がれる物語(橋本彩)
資料1 12人姉妹の物語 タオ・プッタセーン:男山、女山の伝説(訳:橋本彩)
資料2 南部版「男山、女山」 タオ・バーチアンとナーン・マローン:チャムパーサック県チャムパーサック郡パクセー地域のお話(訳:橋本彩)
黄金期の映画が映し出すカンボジアの虚構と現実:リー・ブンジム『12人姉妹』(1968)に見る近現代カンボジアの諸相(岡田知子)
視聴覚アーキビストから見たカンボジアの映画保存:『12人姉妹』と『ノロドム・シハヌーク作品』の事例(鈴木伸和)
タイの「12人姉妹」伝承と映画『プラロット メーリー』(平松秀樹)
資料3 民話 「12人姉妹」の梗概(紹介:平松秀樹)
資料4 映画『プラロット メーリー』(1981)の梗概(紹介:平松秀樹)
第3部 シンポジウムの記録
「ハードボイルド刑事とレディー・クンフー」
第4部 資料 ヤスミン・アフマドの世界
ヤスミン・ワールドの作られ方:『タレンタイム』を織りなす才能・時・物語(山本博之)
執筆者一覧
 

『不在の父 混成アジア映画研究2016』

山本博之・篠崎香織編著、CIRAS Discussion Paper 67、京都大学東南アジア地域研究研究所、2017年3月。
(全体ダウンロード)
『混成アジア映画研究2016』 目次
刊行にあたって(山本博之)
第1部 不在の父
『シアター・プノンペン』に見る家族のかたち:父の不在、復帰、そして父からの自立(岡田知子)
インドネシア映画に見る父子関係の乗り越え方:『再会の時』『珈琲哲学』『三人姉妹(2016年版)』より(西芳実)
フィリピン映画に見る父性の諸相:恋愛ドラマを中心に(山本博之)
シンガポール映画『セブンレターズ』に見る「母としてのマレーシア」イメージ:「覚悟」から見る東南アジア映画論に向けて(山本博之)
『アット・ザ・ホライズン』に見る父子の関係:格差社会を生きる2つの家族の物語(橋本彩)
第2部 国・地域別研究 混成アジア映画の現在
過去10年におけるシンガポールのヒット映画(篠崎香織)
タイのヒット映画に見る地域性と時代性(平松秀樹)
若手映画人によるラオス映画の潮流(橋本彩)
シネコンの誕生とカンボジア映画産業の再起(岡田知子)
第3部 資料『痛ましき謎への子守歌』作品情報
未完のフィリピン革命を問う(山本博之)
『痛ましき謎への子守唄』作品情報(山本博之)

執筆者一覧

 

『たたかうヒロイン 混成アジア映画研究2015』

山本博之・篠崎香織編著、CIAS Discussion Paper 60、京都大学地域研究統合情報センター、2016年3月。
(全体ダウンロード)
『混成アジア映画研究2015』 目次
刊行にあたって(山本博之)
第1部 たたかうヒロイン
脱アメリカ的正義の模索:フィリピンのスーパーヒロイン「ダルナ」(山本博之)
ノラの如く、自由を求める:『天地果てるまで』 ヒロインの飛翔と失墜(平松秀樹)
サイゴン新世代がつくる「英雄」たち:現代ベトナムにおけるヒーローアクション映画をめぐって(坂川直也)
第2部 映画『黄金杖秘聞(ゴールデン・アームズ)』の世界
『黄金杖秘聞』に描かれた風土:インドネシアにおける地方再発見の動き(小池誠)
『黄金杖秘聞』に関する一考察:シラット、小説、コミックと映画との関連を中心に(福岡まどか)
ワークショップの記録 変身するインドネシア:力と技と夢の女戦士たち
『黄金杖秘聞』作品情報(西芳実)
第3部 国・地域別研究 混成アジア映画の現在
競争社会での居場所探しとしてのシンガポール映画:アーベンと「兄弟」の物語(篠崎香織)
ひとつのジャンルとしての「ポル・ポト映画」(岡田知子)
映画祭でつながるミャンマーと世界:ポスト軍政期の新展開(長田紀之)
立ち上がり始めたラオス映画界:その変遷と現在(橋本彩)
東ティモール独立後に制作された作品(亀山恵理子)
執筆者一覧

 

『地域研究』(総特集 混成アジア映画の海)

『地域研究』第13巻第2号、昭和堂、2013年、480頁。
ISBN978-4-8122-1303-2
『混成アジア映画の海』 目次
総特集 混成アジア映画の海―時代と世界を映す鏡
[特集にあたって]混成アジア映画の海―時代と世界を映す鏡(山本博之)
[座談会]混迷化する世界、複層化する映像表現(石坂健治、臼杵陽、杉野希妃、山本博之)
第Ⅰ部 アジアの「映画大国」を襲うグローバルな波
中国映画におけるグローバル化の軌跡(劉文兵)
香港映画史再考 ―― 言語の視角から(西村正男)
グローバル化とインド映画産業 ―― インタビュー調査を通して(深尾淳一)
映画に観るエクソフォニー ――2000-2010年の日本映画をめぐって(及川茜)
第Ⅱ部 混成のうねり――東南アジア映画の新たな冒険
フロンティアとしての混成社会――東南アジア映画の舞台設定(山本博之)
病と不自由な身体――自由を渇望する映画人・蔡明亮(野沢喜美子)
継承と成功――東南アジア華人の「家」づくり(篠崎香織)
信仰と共生――バリ島爆弾テロ事件以降のインドネシアの自画像(西芳実)
混成社会における約束――ヤスミン・アフマド作品の魅力(山本博之)
第Ⅲ部 映画に見るアジアのナショナリティの揺らぎ
【日本】彼らとわたしたちの曖昧な境界(及川茜)
【日本】混成アジア映画としての日本映画(夏目深雪)
【韓国】映画の中の北朝鮮表象から見えてくるもの(李建志)
【北朝鮮】人民大衆の娯楽としてのサーカスと映画(門間貴志)
【中国】改革開放を生き抜く人々(下野寿子)
【台湾】銀幕に多様な社会を描きだす(加藤浩志)
【香港】『浮城』に見る返還後の香港(谷垣真理子)
【モンゴル】大衆的プロパガンダと「現実の社会」(木村理子)
【ベトナム】革命イデオロギーから夢と笑いへ:B級映画都市サイゴンの復活(坂川直也)
【カンボジア】都市の混沌と錯綜する想い(岡田知子) 
【タイ】新しいヒロイン像:日本・韓国表象とともに(平松秀樹)
【フィリピン】片隅に置かれた人びとの歩みを刻み、声を響かせる(宮脇聡史)
【インドネシア】世界にさらされる小さな英雄たち(西芳実)
【マレーシア】映像を通じた「本物のアジア」の模索(山本博之)
【シンガポール】「成功」を支えるさまざまな思いを掬い採る(篠崎香織)
【ミャンマー】客体から主体へ:ミャンマー映画の再生(長田紀之)
【バングラデシュ】シネコンに集う「ベンガルムスリム」(南出和余)
【ブータン】幸せの国ブータンの暮らしと人生観に見る幸せの秘訣(前田知里)
【ネパール】インド映画からの脱却を目指すネパーリー・チャルチットラ(伊藤敏朗)
【インド】グローバル化のなかで変容する社会:混成化・越境・均質化(山下博司・岡光信子)
【スリランカ】世界遺産がひしめく美しい島に静かに眠る人々の苦しみ(林明)
【パキスタン】スンナ派とシーア派を繋ぐ糸縁:イスラーム社会の声を聞く(村山和之)
【ウズベキスタン】中央アジア近現代史に思いをはせながら(帯谷知可)
【カザフスタン】交錯する視点:カザフ社会の内外から伝統と現代を問う(藤本透子)
【タジキスタン】ロシアへの複雑な思い(岡田晃枝)
【エジプト】革命とセクハラ:エジプト映画『678』をめぐって(長澤榮治)
【イラン】イラン映画のアイデンティティクライシス(鈴木均)
【パレスチナ】終わらない現実としてのパレスチナ(錦田愛子)
【イスラエル】孤立した社会から生み出される自己省察(田浪亜央江)
【レバノン】幻影としての外からの脅威(佐野光子)
【シリア】革命と表現の自由・不自由(佐野光子)
【トルコ】『征服1453』とトルコにおける「オスマン帝国イメージ」の変化(澤井一彰)